ネカフェから出てきた同期と退職
ある日の昼休みD君が意外なところから出てきた。
そこは・・ネットカフェだった。
見てはいけない場面を見てしまったような気がしたが、確認せずにはいられない。
思わず話しかける。
アルパパ「お疲れ。・・なんでネットカフェ行ってたの?」
振り返ったD君の表情は虚ろであった。
前に廊下であったときよりもやつれているように見える。
D君は元気がなく、小さい声で話してくれた。
激務の中、昼休みだけがまともに休める時間だから、オフィスの自席で寝ている事が多かった。
しかし昼休みでも休まないチームメンバーも居るため落ち着かないので、オフィスの外で休めるところを探していた。
その行きついた先が、個室があって横になって寝れるネットカフェだという事らしい。
開いた口が塞がらなかった。
そこまで追い詰められているのか。
彼の部署に休職者が数人いるということも納得が出来てしまう。
かける言葉がすぐには見つからなかった。
捻り出した言葉が「無理しないで。なんかあれば相談に乗るから」だった。
D君は「ありがとう」と言ってくれたものの、鼻で笑われたように感じてしまった。
まるで「お前に相談した所でこの状況が変わる訳ないだろ?」と言わんばかりに。
それから二ヶ月後、毎月発行される社内報に彼の名があった。
【退職】
〇〇システム部 D
遅かれ早かれ、あの状況ならそうなってしまったのだろう。
優秀な同期の退職。
原因は、彼が仕事が出来たからだろう。
目指すべきものが分からなくなってしまった。
仕事が出来る=辛くなる
こうなるなら、仕事が出来ない、使えない社員の方がよいじゃないか?
この会社は仕事が出来る人間にどんどん仕事が降りかかる。
自社の2ちゃんねるスレッドでこんな書き込みがあった。
「この会社は本当に出来る奴は辞める。」
「残っているのは、度重なる激務で正常な判断が出来なくなっている社畜」
「そして簡単にクビにされない事に味をしめた寄生虫だけだ」
所詮、便所の落書きとしか思っていなかった2ちゃんねるの書き込み。
しかし、この出来事の後は真実を書いているのではと思った。
アルパパのモチベーションは最低になってしまった。
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