消えてほしいもの
サービス残業をしていることで家庭にも影響が出始めたアルパパであったが、このような事態になった背景にはU主任の失脚があったと思っている。
そのU主任のその後についてだが、D係長との一件以降で劇的に変化・・・いや退化した。
暇で退屈そうな事務処理要員となったのだ。
その事務処理は新人レベルでも出来る仕事である。
そんな簡単な仕事だからかU主任は居眠りをしていることも多い。
大好きなアイドルグループの情報をtwitterで頻繁に確認しているのも知っている。
やりたい放題のU主任の席はD係長の席からは消耗品などを入れる棚があり、ちょうど死角となってU主任からは見えないのだ。
D 係長から怒られることも無くなり、基本的には定時に帰っている。
数年前、D係長と揉めていたあの頃が懐かしい。
あの頃のU主任は終電や徹夜は当たり前。
それが今は毎日事務仕事をして定時に帰っている。
その結果どうなったかというと・・
U主任がSE業務をやらなくなったシワ寄せがアルパパに来ている。
アルパパは不満ばかりだった。
どう考えたって会社の売り上げに貢献しているアルパパよりもはU主任の方が高給だし、早く帰れるし、仕事は暇そうだし。
しかもそれを良しとしているD係長含めたこの組織にうんざりしていた。
クビにせず飼い殺しをする会社。
それに甘んじて会社を辞めないU主任。
おかしい。何かがおかしい。
ある日のこと。
D係長が終日外出していないからだろうか。
U主任が事務の女性と楽しそうに大声で喋っている。
話の内容は業務にまったく関係ないテレビ番組の話。
アルパパの席に近いので二人の会話は丸聞こえだ。
イライラして仕事に集中できない。
途中トイレに立って心を落ち着かしてみる。
そしてオフィスに戻る。
案の定、二人の話は終わっていない。
またイライラして仕事に集中出来ない。
話が終わったのは1時間ぐらい経ったあとのことであった。
「早く会社辞めればいいのに」
アルパパの中でU主任は「一刻も早く消えて欲しいもの」になっていた。
「何故居るのだ?」
「何故辞めないんだ?そんなアルバイトみたいな仕事してるのに。」
「会社も何故クビにしない?」
「この激務の原因の一つになっていることが何故わからない?」
「このまま事務仕事しかしないのに高い給料払うってどういうこと?」
この怒りをU主任にぶつければ良いのかD係長にぶつければ良いのか良く分からない。
残業が多くなり肉体的にも精神的にも疲弊していくアルパパであったが、U主任の存在が疲弊を加速させていったのであった。
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