嫌いな上司が壊れていく
この頃、U主任がD係長に説教されている回数が増えてきた。
みんなが仕事している前で説教をするのである。
仕事の内容についてであればしょうがないと思うのだが、人間を否定するような発言が目立つ。
D係長「もう30過ぎてんだろ。後輩もいるのに恥ずかしくないのか?」
D係長「何で出来ないんだ?自分では出来ません?開き直って自分がバカだって認めてほしいのか?」
D係長「これから結婚して家庭を築いていくんだろう?こんなんじゃ良い親父になれないからな」
これらの発言を自席で聞いていた自分ですらちょっとイライラしてしまう。
言い過ぎなのではないか。
アルパパがU主任が嫌いではあるのだが、それでも同情してしまうくらいひどい。
しかも説教する時間が長い。
ある日はU主任が立たされながら2時間近く説教されていた。
ある日は会議室に18時ごろ呼び出され23時近くまで出てこなかった。
少しずつU主任の口数が減っていった。
毎日死んだ魚の目をしている。
人付き合いも少しずつ避けるようになっていった。
それまでお昼休みは誰かとランチに行っていたのだが、一人でフラっと消えてしまう。
(あとで聞いたところ、近くの公園にいって空を見ながらご飯を食べていたらしい。)
U主任の中で何かが壊れたのだろう。
そのうちU主任がD係長を仕事の上で避けるようになった。
D係長からU主任に関してのメールに対して返信をしない。
チームメンバーに促されてもやらないのである。
そのうちU主任が休む回数も増えてきた。
アルパパはこのままだと確実に辞めることになると思い始めた。
ある日、決定的な一言をD係長がU主任に告げる。みんなの目の前で。
「辞表もってこい!」
なんだこのドラマみたいなセリフ。
アルパパはというと、不謹慎ではあるがこの状況を楽しんでいた。
何故ならばU主任が嫌いだからである。
チームメンバーもU主任を笑いのネタにしていた。
元々、U主任は適当なところがある人で仕事のやり方にも雑な部分があった。
最近は忙しいということもあったのだろうが、仕事でミスが重なったのである。
こうなってしまったのはU主任が悪い。自己責任だ。いつ辞めるのかな。
チームメンバーはみんな、そんな意見を持っていた。
雰囲気は最低である。
アルパパが数年後、D係長によって同じような状態に陥ることは誰も知る由もない。
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